コメント(# と {# #})
『Flask』でコメントを書く方法です。Python コード部分では Python の『#』(一行コメント)と三重引用符『"""..."""』(docstring)が使えます。Jinja2 テンプレート(HTML ファイル)では『{# 一行コメント #}』を使います。テンプレートコメントはブラウザに届く HTML には出力されません。Flask が使う Jinja2 テンプレートのコメント構文は Django テンプレートと同じです。
構文
# Python: 一行コメント — # 以降、行末まですべてコメントになります。 # コードの上や行末に書きます。 """ Python: docstring — 三重引用符で囲んだ文字列です。 関数・クラス・モジュールの先頭に書くとドキュメントとして扱われます。 Flask では @app.route() に付けた関数の docstring が エンドポイントの説明として各種ツールから参照されます。 """
次のコードも別の記述例です。
{# Jinja2 テンプレート: 一行コメント — HTML に出力されません。 #}
{#
Jinja2 テンプレート: 複数行コメントは {# から #} の範囲で書けます。
Django テンプレートの {# #} と同じシンタックスです。
#}
{# HTML コメントとの違い: はブラウザに届きます #}
コメントの種類
| 種類 | 書き方 | 概要 |
|---|---|---|
| 一行コメント(Python) | # テキスト | Python ファイル(app.py・views.py 等)で使います。『#』以降、行末まですべてコメントになります。 |
| docstring(Python) | """テキスト""" | 関数・クラス・モジュールの直後に書くドキュメント文字列です。ルート関数の docstring はエンドポイントの説明として活用されます。 |
| コメント(Jinja2 テンプレート) | {# テキスト #} | Jinja2 テンプレートファイル(.html)で使います。レンダリング時に削除され、生成された HTML には含まれません。複数行にまたがって書くこともできます。 |
| HTML コメント | <!-- テキスト --> | テンプレート内で書けますが、ブラウザに届く HTML ソースに残ります。機密情報の記述には使わないでください。 |
Flask における docstring の使われ方
Flask のルート関数(ビュー関数)に docstring を書くと、次のような場面で参照されます。
| 場面 | 説明 |
|---|---|
| エディタのホバー表示 | VS Code 等のエディタがルート関数の docstring をホバー時に表示します。URL・パラメータ・戻り値の説明を書いておくと便利です。 |
| Flask-RESTX / Flasgger 等の API ドキュメント | API 向けの Flask 拡張では、ルート関数の docstring を Swagger UI のエンドポイント説明として使う場合があります。 |
| テスト・デバッグ | テストコードでルート関数を参照するとき、docstring があると意図が読み取りやすくなります。 |
コメントを書くべき場所・書かなくてよい場所
| 判断 | 場面 | 理由 |
|---|---|---|
| 書くべき | 「なぜこう実装したか」の理由 | コードを読むだけではわからない設計意図やトレードオフを残しておくと、将来の自分や他の開発者が助かります。 |
| 書くべき | 複雑な処理や条件分岐 | 何をしているか一見でわかりにくい処理には、動作の概要を補足します。 |
| 書くべき | ルート関数・ユーティリティ関数 | 引数・戻り値・副作用を docstring で明示しておくと、呼び出し側がコードを読まなくても使えます。 |
| 書くべき | テンプレートの一時的な無効化 | 『{# #}』でコメントアウトした理由や期限を残しておくと、削除し忘れるリスクが減ります。 |
| 書かなくてよい | コードを読めば明らかな処理 | 自明な説明はノイズになります。変数名・関数名をわかりやすくすれば不要になります。 |
| 書かなくてよい | 変更履歴・削除したコード | バージョン管理(git)があるため、コメントに古いコードや変更日を残す必要はありません。 |
サンプルコード
Flask アプリケーションでのコメントと docstring の使い方を確認します。
app.py
# app.py — Flask アプリのエントリーポイントです。
from flask import Flask, render_template, abort
app = Flask(__name__)
# 商品データ(実際のアプリではデータベースから取得します)
PRODUCTS = [
{"id": 1, "name": "item_a", "price": 1000},
{"id": 2, "name": "item_b", "price": 2500},
{"id": 3, "name": "item_c", "price": 800},
]
@app.route("/")
def index():
"""
トップページを表示します。
全商品の一覧を product_list.html に渡してレンダリングします。
Returns:
str: レンダリング済みの HTML 文字列。
"""
# is_available フィルターを追加する場合はここで絞り込みます。
return render_template("product_list.html", products=PRODUCTS)
@app.route("/product/<int:product_id>")
def product_detail(product_id):
"""
商品詳細ページを表示します。
Args:
product_id (int): 表示する商品の ID。
Returns:
str: レンダリング済みの HTML 文字列。
Raises:
404: 指定した ID の商品が存在しない場合。
"""
# next() で条件に一致する最初の要素を取得します。
# 見つからなければ None を返し、404 を返します。
product = next((p for p in PRODUCTS if p["id"] == product_id), None)
if product is None:
abort(404)
return render_template("product_detail.html", product=product)
if __name__ == "__main__":
app.run(debug=True)
Jinja2 テンプレートでのコメントの書き方を確認します。
templates/product_list.html
{# product_list.html — 商品一覧を表示するテンプレートです。 #}
{% extends "base.html" %}
{% block content %}
{# タイトルセクション #}
<h1>商品一覧</h1>
{#
以下のリストはビュー関数から渡された products 変数を使います。
ソートや絞り込みはビュー側で実施済みです。
#}
<ul>
{% for product in products %}
<li>{{ product.name }} — {{ product.price }} 円</li>
{% else %}
<li>商品がありません。</li>
{% endfor %}
</ul>
{# HTML コメントはブラウザのソースに残ります(機密情報は書かない) #}
<!-- フッターエリア -->
{% endblock %}
よくあるミス
HTML コメントに内部情報を書く
HTML コメント(『<!-- -->』)はブラウザのソースに残ります。デバッグ情報・内部 URL・設定値などを書くと、ページのソースを見るだけで読み取れてしまいます。Jinja2 テンプレートコメント(『{# #}』)を使えば HTML に出力されません。
{# NG: HTML コメントに機密情報を書くと外部から見える #}
<!-- API endpoint: /internal/admin/reset -->
{# OK: Jinja2 コメントなら HTML に出力されない #}
{# 管理用エンドポイントは admin blueprint を参照 #}
Jinja2 の変数構文をコメントに入れて展開される
Jinja2 テンプレートコメント(『{# #}』)の中に『{{ }}』や『{% %}』を書いても展開・実行されません。コメント内のこれらの構文はそのままコメントになります。ただし、コメントアウトしたつもりのコードが展開されると思い込んでいるケースがあります。
{# {{ user.name }} はコメント内では展開されない。変数は参照されません。 #}
{# {% if condition %} もコメント内では実行されません。 #}
概要
Flask 開発では Python コードと Jinja2 テンプレートの2つの場所でコメントを書きます。Python ファイルでは『#』の一行コメントと三重引用符の docstring を使います。ルート関数の docstring は API ドキュメントツールやエディタのホバー表示から参照されます。
Jinja2 テンプレートでは『{# #}』がコメントです。Django テンプレートと同じシンタックスで、一行でも複数行でも使えます。レンダリング時に削除され、ブラウザに届く HTML には含まれません。HTML コメント(『<!-- -->』)はそのままブラウザのソースに残るため、内部情報やデバッグ用の記述にはテンプレートコメントを使うのが一般的です。
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