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共用体(union)
複数のメンバが同じメモリ領域を共有するデータ構造です。異なる型として同じデータを解釈したり、メモリを節約したりする目的で使用します。サイズは最大のメンバのサイズに等しくなります。
構文
// 共用体型を定義します。
union 共用体タグ名 {
型 メンバ名1;
型 メンバ名2;
};
// 共用体変数を宣言します。
union 共用体タグ名 変数名;
// メンバへのアクセス(構造体と同じ記法)。
変数名.メンバ名;
ポインタ->メンバ名;
// 初期化は最初のメンバに対してのみ行えます(C89)。
// C99以降は指定初期化子が使えます。
union 共用体タグ名 変数名 = {.メンバ名 = 値};
union と struct の比較
| 項目 | struct | union |
|---|---|---|
| メモリ | 全メンバ分の合計(+パディング)を確保します。 | 最大メンバ1つ分のサイズのみ確保します。 |
| アクセス | 全メンバに独立してアクセスできます。 | 有効なのは最後に書き込んだメンバのみです。 |
| 用途 | 複数のデータをまとめて扱うことに使います。 | 同じメモリを異なる型で解釈することに使います。 |
サンプルコード
#include <stdio.h>
#include <stdint.h>
// 数値を異なる型で解釈する共用体です。
union Number {
int i;
float f;
unsigned char bytes[4];
};
// タグ付き共用体(どのメンバが有効かをenumで管理します)。
typedef enum { TYPE_INT, TYPE_DOUBLE, TYPE_STRING } ValueType;
typedef struct {
ValueType type;
union {
int i_val;
double d_val;
char s_val[64];
} data;
} Value;
void print_value(const Value *v) {
switch (v->type) {
case TYPE_INT: printf("int: %d\n", v->data.i_val); break;
case TYPE_DOUBLE: printf("double: %f\n", v->data.d_val); break;
case TYPE_STRING: printf("string: %s\n", v->data.s_val); break;
}
}
int main(void) {
union Number n;
// int として書き込みます。
n.i = 42;
printf("int値: %d\n", n.i); // 『int値: 42』と出力されます。
// float として書き込むと int の値は無効になります。
n.f = 3.14f;
printf("float値: %f\n", n.f);
// バイト列として同じメモリを見ます(エンディアン確認に使われます)。
n.i = 1;
printf("bytes[0] = %u\n", n.bytes[0]); // リトルエンディアンなら『1』と出力されます。
// サイズは最大メンバのサイズになります。
printf("union Number のサイズ: %zu バイト\n", sizeof(union Number));
// タグ付き共用体でバリアントデータを扱います。
Value v1 = {TYPE_INT, {.i_val = 100}};
Value v2 = {TYPE_DOUBLE, {.d_val = 3.14}};
print_value(&v1); // 『int: 100』と出力されます。
print_value(&v2); // 『double: 3.140000』と出力されます。
return 0;
}
概要
共用体の最大の特徴は、複数のメンバが同じメモリアドレスを共有することです。これにより1つの変数を複数の型として解釈できます。ハードウェアのレジスタやネットワークパケットの解析など、低レベルなバイト操作でよく使われます。
最後に書き込んだメンバ以外を読み出すことは、C言語の規格上「未定義動作」です。ただし、バイト表現の読み出し(『unsigned char』メンバ経由)は規格で許可されています。複数の型を安全に扱いたい場合はタグ付き共用体のパターンを使用してください。
関連するデータ構造として、全メンバを独立させたい場合は『struct(構造体)』を使います。関連する定数を列挙する場合は『enum(列挙型)』を参照してください。
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